コレクション: 業績不振
責任や心労が重なり、夜も眠れないほど辛い毎日だと思います。
でも、どうか自暴自棄にならず、まずは自分と家族を守ることを第一に考えてください。
生きている限り、立て直せることを信じてください。
大川隆法総裁の教えの中から、いま、あなたに必要な心の処方せんを選びました。
生きてこそ、立て直しもできる
事ここに至っては、敗戦処理をしなくてはいけません。「会社をいかに上手に閉めるか」ということを考えなければいけないのです。上手に閉めることができた人は、自殺せずに済みます。ところが、閉めそこなった人は、自殺したり、一家心中になったりすることがあるのです。
したがって、勝つことばかりを考えるのではなく、撤退戦というものがあることを知らなければいけません。被害をどれだけ食い止めるかが大事です。撤退して被害を食い止めれば、もう一度、戦力を立て直すことができるのです。ところが、それをしないと、全滅してしまうことがあります。
あの織田信長でさえ、「負けだ」と思ったときには、命からがら、一騎で逃げています。仲間と思っていた浅井氏が敵に寝返り、自分の軍が朝倉軍と浅井軍に挟み撃ちにされたときに、信長は、「予期せぬ挟み撃ちに遭ったら、命が幾つあっても足りない」ということで、身一つで京都へ逃げ帰っています。
メンツではないのです。もし、「自分は天下人だ」「自分は日本一強い」といったメンツを護ろうとしたならば、たとえ敵が二倍になろうと、裏切りに遭おうと、戦わなければいけなかったでしょうが、信長は、「勝ち目なし」と悟ったら、即、逃げ帰っています。
逃げることが下手な人で、生き延びて勝ち上がった武将はいません。「勝つべきときには勝ち、負けるべきときには上手に兵を引く」というのが、長く勝ち残っていくための方法なのです。
会社の経営でも同じです。勝てるときもありますが、負け戦のときもやはりあります。負け戦のときに、いかにうまく兵を引き、そして立て直しをするかということが大事なのです。
「長く勤めた社員に申し訳ない」ということで、なんとか、会社の存続を図ろうとして、借金に借金を重ねて生き延びようとする人がいます。しかし、そういうときには、「社員全員が生き延びることはできなくても、社員の八割が生き延びる方法はあるのではないか」という考え方もあるはずです。
八割が生き延びるためには、どうしたらよいでしょうか。閉めるべき部門や、切るべき商品、削るべき商品があるでしょう。返すべき借金もあるでしょう。
このように、「八割でも生き延びることはできないか」という考え方も大事です。全員が生き延びることを考えて、かえって、つぶれてしまうこともあるのです。
知恵を尽くして、撤退のための戦略も立てないと、ただただ負け戦に入っていき、自殺という結果になることも多いのです。この世的な知恵も、使うべきところは使わなければいけません。
「最後は破滅すればよい」という論理は、やはり避けるべきです。生きてこその人生であり、生きてこそ、立て直しもできるのです。過去に失敗が多かったとしても、やり直しは可能なのです。
最終的に、自殺したり、一家心中になったりするぐらいならば、その前に、やるべきことがあるのではないでしょうか。そう考えれば、確かに、やるべきことはあるのです。そこまでの状態になる前に、「あれはやめておけばよかった」「これをしなければよかった」ということは、幾らでもあるはずです。
そのように、やれるだけのことをやって、撤退をしなければいけません。
感動を与えることさえできれば、どのような事業であっても必ず前進する
「商売繁盛のコツとは何か」ということについて、結論を一つだけ述べるなら、それは、「人に感動を与える」ということです。
商売が繁盛し、利益が大きくなるようにしたければ、人に感動を与えることが大切です。これが、業界や業種を問わず、社長から末端の従業員、あるいはパートの人に至るまで、どのような立場の人にも通じる、商売繁盛のコツなのです。
結論はこれだけです。あなたの言葉や態度、あなたが売った商品やサービスなど、さまざまな仕事を通して、相手に感動を与えることです。
これに成功し続けることができた人は、どのような業種であっても、仕事が上向きになっていくことは確実です。
大勢の人に感動を与えることができる社長の下、その影響を受けて、社員も同じように一丸となって、お客様に感動を与えることができるようになれば、その会社は確実に発展するでしょう。
宗教でも同じことが言えます。伝道を進めるためには、やはり、相手に感動を与えることが大事なポイントになるのです。
感動を与えることさえできれば、どのような事業であっても、必ず前進します。
一定の規模を超えたら「財務マン」が必要
新聞の夕刊を見ていたら、一面に、野菜工場をやっている会社が載っていました。十社に一社の競争に勝ち残り、今、テレビで取り上げられたり、よく新聞に出たりしている会社です。「ほかとの競争に勝って、どこそこにも工場を出す」と出ていました。それは嬉しいだろうとは思いますが、財務的に見たら、私などは、そろそろ“怖い”気がします。適切な財務マンを持っていなければ、潰れる恐れがあります。発展しても、そのコスト・コントロールから、投資が成果を生むかどうかというところまで、ちゃんと見える人がいないと、危ないのです。
ニーズがあって始めても、途中からライバルに食われたり、需要がなくなったりするようなことは、いくらでもあります。そのへんで、いよいよ経営に、非常に“要注意”の部分が出てきます。一定の規模を超えると、危なくなってくるのです。社長の能力を超えた場合は危険になるので、“助っ人”がいないと経営ができなくなります。
その前の段階として、確かに、銀行などが代役をしてくれることがあります。「工場を拡張したい」とか、「生産ラインを拡張したい」とかいうようなときに、銀行に融資を受けに行きます。書類をつくって持っていき、社長が自ら説明します。
内部に「財務の部分」が育っていなくて、内部の意見が聞けない場合でも、銀行がその説明を聞いて融資しないのであれば、やはり、外部の意見として、「危険を感じている」ということなのです。このへんに関しては、自分は「発展する」と思っているけれど、外部は「これは危ない」と見ているのなら、「なぜか」というところを考えなければいけないと思います。それを、さらに説得できるだけの技術が必要でしょう。そういうことが言えるのではないかと思います。
「財務」や「人事」に社長の最終判断が必要な理由
さて、財務部門は、「お金をどのように調達して使うか」というお金のあり方を扱うのに対し、人事部門は、「どのように人を調達して使うか」ということを考えるところです。これらは、企業で言うと「参謀部門」に当たります。
したがって、現場に近いところでの判断権はあるべきであったとしても、最終的には、情報を整理して、トップの片腕になり、トップの心で、「このようにしたほうがよいと思う」ということをトップに直言し、判断を求めるセクションなのです。そういう意味で、参謀部門であるわけです。
つまり、参謀としてのキチッとした正確な考え方を持ちながら、企画でもって、トップにその考えを上申し、最終的に判断を仰ぐことが大事になります。
また、トップの側は、「この最終的な判断から逃れたら、トップではない」ということです。これは、責任が生じるところだからです。
というのも、従業員というのは、「経営理念」とか「経営方針」とかを言われても、なかなか理解ができないわけです。年頭に社長の経営方針が出ても、「何か言っているけど、よく分からない。『世界の環境が変わって、経営環境が変わって、デフレがどうのこうので、どうする。わが社も何とかかんとか……』などと言っているけれども、何だか、昔のお経を聴いているようで眠くなってしまい、全然、分からない」というような感じになってしまいます。
ところが、(従業員は)「人事」なら分かるのです。もちろん、新入社員には少し厳しいかもしれませんが、若手の社員や女子社員であっても、発表された人事を見れば、社の方針がどうなっているのかが分かるわけです。これは“井戸端会議”で、かなり判断できる部分があり、「どういう人を登用し、どういう人を降格し、どういう人を辞めさせたか。あるいは、どういう仕事を上は重く見ているか」というようなことが、一目瞭然に出るのが人事なのです。
つまり、従業員にとって、人事の結果は、経営方針の一部として理解しやすいものであり、そのときどきでトップがどのような考えを持っているかは、人事を見れば一目瞭然です。その意味で、「人事はトップの責任として残る」ということを知らなければいけません。
また、人事の判定の仕方によって、「どのような会社の未来を描いているか」ということが、ある程度見えてきます。トップには、それについての責任が生じるのです。
これは、「財務」に関しても同じでしょう。
お金のエキスパートからの意見はあるにしても、例えば、「借入金をしてまで工場を建てるか。それとも、工場を建てるよりは、借入金を減らすか」というような大きな判断を、財務部長の判断だけでやってしまっては駄目です。
財務部長は、「借金をしてでも工場を建てましょう」とか、「いや、借金を返してしまいましょう」とか、根拠をつけていろいろと意見は言うかもしれません。ほかにも、「営業を拡張していますから、新しく社員を百人増やしましょう」とか、「中途採用は、これだけ入れましょう」とか、あるいは、「退職金はこれだけ出しましょう」とか、いろいろな意見は言ってくると思うのです。
しかし、最終的に、「やるか、やらないか。進むか、退くか。あるいは、一部修正するか」という判断は、トップに残ります。
「人事」と「財務」の部分は、参謀部門として非常に重要であり、有力な企業幹部がいなければいけないセクションではあるものの、「大将としての判断は残りますよ。これを捨てたら終わりであり、ダッチロールに入りますよ」ということは述べておきたいと思います。
経営理念が社員の生きがいにもなる
経営環境自体が、不況で倒産企業が増えるような状況になると、臆病になるのは人の常です。「誰もが臆病になってきて、新しいチャレンジができない」ということがあります。
会社を創業するときには勇気があったはずですが、ある程度、会社が大きくなると、保身が働き、安定を求めて、だんだん現状維持になっていき、勇気がなくなってくるのです。
そのようになっていく感じは分かります。自分の見える範囲以上に仕事が広がっていき、いろいろな人が働いているので、「自分が何かを言っても言わなくても、あまり変わらない」という感じが出てきたりします。また、「責任を取りたくない」と考える人も増えてきます。
しかし、勇気がなくなってきたときには、社長たるもの、ここで、もう一回、考えを練らなければいけません。
最初は、「自分の好きなことをして、自分や家族が食べていくことができ、従業員がおなかいっぱい食べられればよい」という程度の志で会社を始めたのかもしれませんが、一定の規模にまで大きくなってきたら、やはり、それだけでは足りません。
「なぜ、わが社が発展・繁栄しなければならないのか」という、この正当性を打ち出さなければ駄目なのです。
それは、前述したように、経営者に対しては他人は教えてくれないからです。「他人が教えてくれない」ということは、「自分の頭で考えなくてはならない」ということです。従業員にアンケートを取っても駄目です。やはり、社長は、苦しんで自分で考えなければいけません。
「なぜ、わが社が社員十人の会社から五十人の会社にならなければいけないのか」「売り上げ目標を『年商百億円突破』と掲げているが、なぜ、わが社が年商百億円を突破しなければいけないのか」ということ、その目標の奥にある意味を考え抜かなければいけないのです。
これは「経営理念」といわれるものですが、中小企業では、なかなか経営理念を立てられません。たいていの場合、中小企業の社長は、「自分一人で経営をしている」と思っていますし、経営理念は自分の「反省ノート」のようなものであり、他人に見られると恥ずかしいので、なかなか言葉に出して語れないものだからです。
しかし、経営理念をつくらなければ会社は大きくはなりません。
自分一人の納得だけで済ませている間は、会社は大きくならないので、考えに考えて経営理念をつくらなければいけないのです。
「わが社は何のためにあるのか」「わが社の発展は、いったい何につながるのか。何が目的なのか」という理想、経営理念を、練り上げてつくらなければいけないわけです。
ところが、中小企業の社長の場合、「そんなものは要らない」と言う人がほとんどです。「仕入れができて、売り上げが立てば、それで十分だ」「借金よりも利益が多ければよいのだ。それで終わりだ」と言う人が多いのですが、小なりとはいえ、社員が二十人、三十人、五十人と集ってきたら、その人たちにも働く上での生きがいがなければなりません。
同業他社に圧倒的な差をつけるサプライズを生み出す方法
事業経営は、自分の適性に立ってやらなければいけないし、そのためには、「自分の才能はどういうところにあるか」を見極めなければいけません。
ただ、「今は才能がない」と思ったとしても、努力して考え方を変えることによって、才能をつくり上げる場合もあるので、そのへんも考えた上で、事業を選ぶとよいでしょう。
事業を選んだ場合、次は、「商売の種」というか、「仕事の種」「飯の種」に当たるものを探して、何らかの情報収集を重ねていくことが大事ですし、その情報収集を重ねていくなかに、リピート客が増えていくような努力をしなければいけないのです。
そして、お客様に飽きられてきているなら、何か、改善するなり、付け加えるなりしていく努力をしなければいけません。
こうした努力は要りますし、最終的に、同業他社に圧倒的な差をつけるためには、やはり「サプライズ」を考えておくことが大事です。
そのサプライズの一つは何でしょうか。
基本的な定式は、やはり「異質なものの結合」です。ちょっとないような感じで、「まさか、ここでこんなことが」と思うような、異質なものの結合があると、サプライズになります。
あるいは、「ちょっとした心尽くし」でも構いませんし、「相手にとって意外なこと」でもよいでしょう。
例えば、リピート客が来たときに、相手の名前を下まで覚えていたり、家族構成まで覚えていたりすることです。「お子様はどうなりましたか」とか、「息子さんはどうですか」とか、「お嬢さんはどうなりましたか」とか言ってきたら、少し“怖い”ぐらいの感じです。
さらには、「あのときには、こういう話をしていた」とかいうことまで覚えているとなってきたら、大変です。以前、何か話をしたとき、お客様が「今こんなことで困っているんですよ」と言っていたのであれば、その後、その人が来たとき、「その後どうなりましたか」と尋ねて続きを聴いてあげ、気にかけているところを見せると、相手は、やはり驚きを感じるところがあるでしょう。
ただ、今までずっと来ていた得意の客でも、店の担当の人が休みを取って、ほかの人に替わったりしていて、まったくの一見さんのような扱いをされたときには、腹が立って、もう来なくなることもあるので、そういうときは、ほかの人に対する引き継ぎとか、申し送りとかをしておくことが非常に大事です。
要するに、「気配りでのサプライズ」や「商品やサービスの出し方での、組み合わせのサプライズ」等で、相手を喜ばそうという気持ちを持っているところは、長く続くことがあるということです。
ですから、お客様はなかなか教えてくれませんが、お客様に飽きられたりしているときには、「なぜ飽きられたのか」をよく考えなければいけません。そのへんを大事にしてください。
資金繰りについては、追い詰められる前に勉強しなくてはいけない
「部下に経理担当者がいるから、それでよいだろう」と思っている人もいますが、経理で経営はできないのです。経理と経営は違います。経営は、全体を見なければならないので、社長自身がお金についての勉強をしないかぎり、上手にできるようにはならないのです。
そのため、経営者の自殺においては、「技術出身の人が、資金繰りに失敗して、自殺する」というケースが数多くあります。
また、営業出身の社長の場合も、「資金繰りがよく分からなくて自殺する」ということがよく起こります。
資金繰りについては、追い詰められる前に勉強しなくてはいけないのです。
書店へ行くと、資金繰りに関する本はたくさん出ています。「大学で学んでいないから、読んでも、よく分からない」と思うかもしれませんが、難しい学問的な本でなくてよいのです。簡単なハウツーもので、二、三時間もあれば読めるような軽い本も多く出ているので、そういうものを五冊十冊と買って、一カ月ぐらいかけて読めば、多少は分かるようになります。
人生の持ち時間のなかで逆転の努力を
この世の人生は長く生きても百二十年であり、たいていの人は数十年しか生きられません。そして、「また生まれ変わってこよう」と思っても、すぐに生まれ変わってくることはできません。
今世も、お願いにお願いを重ねて、せっかく、この世に生まれてきたのですから、そんなに死に急ぐことはないのです。いずれは死ななければいけない身であり、死ぬ時期は必ず来るのです。
そうである以上、残された持ち時間のなかで、逆転できないかどうか、努力してみる価値はあると思います。同じチャンスは二度とないので、できるだけ、がんばってみるべきです。
そのためには、あまり完全主義的な傾向は持つべきではありません。人間の持つ不完全な部分、ある意味における動物性、動物的な部分を受け入れることです。
自分にも他人にも動物的なところがあり、だからこそ、感情のままに流されて、怒ったり、嘆いたり、わめいたり、失敗したり、被害者意識を持ったり、攻撃したりすることがあるのです。
人間には、そういう不完全な部分があり、不完全な部分があるからこそ、まだ修行が残っているのだということを知らなければいけません。「不完全さをも受け入れなさい」ということです。
そして、罪というものをあまり追及しすぎると、さらに、新しい大きな罪をつくってしまうこともあります。あまりに潔癖すぎて、また大きな罪を犯すこともあるのです。
会社の経営における失敗などは、よくあることです。ただ、そのときに、プライドが許さないため、引くに引けず、強気一点張りで、さらに破滅に向かっていく場合があるのです。その結果、自分のみならず、妻子まで犠牲になってしまうこともあります。しかし、それを避けることはできたはずなのです。
したがって、名誉やプライドだけで戦うのではなく、冷静になって対応の仕方を考えることです。この世的な知恵で対応できるものは、知恵を尽くして考えるべきです。
さらに、知恵が尽きたら、次は勇気も必要です。自分を許すにも勇気が要りますし、他人を許すにも勇気が要ります。その勇気を持たなければいけません。
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